ガソリン・エンジンの燃焼



1)燃焼過程
シリング内で圧縮された混合気は,スパーク・プラグによって点火され,プラグ電極周囲の混
合気がまず燃焼し始めて,その火炎伝ぱによって急激な燃焼状態に達する。
図1-8は,シリンダ内での燃焼状態をクランク回転角度と圧力で示したものである。
A点で点火すると緩慢な燃焼が始まり,B点から急速に火炎が伝ぱして急激な燃焼が起こり,
C点で最高圧力になってD点で燃焼は終わる。

2) ノッキング
(1)ノッキングの原因
ガソリン・エンジンのノッキングの原因には,デトネーション(異常燃焼)とプレイグニショ
ン(過早点火)のニつがある。
デトネーンョンとは,点火後の燃焼過程において,燃焼室内の混合気が自然発火して,異常か
つ急速な燃焼をすることで,これはガソリンのオクタン価や点火時期又は圧縮比などが適切でな
い場合に発生しやすく,正常燃焼の火炎伝ば速度が毎秒数十メートルとされているのに対し,異
常燃焼の場合には毎秒数百メートルにも及び,そのために生ずる圧力波がシリンダ壁や上昇しつ
つあるピストン頭部につき当たって打音を発生する。
プレイグニションとは,圧縮された混合気がスパーク・プラグの火花で点火される前に,それ
以外の熱源によって自然に燃焼し始めることで,その熱源としては,過熱されたエキゾースト・
バルブ,赤熱されたスパーク・プラグの先端及び堆積カーボンの過熱部分などが考えられる。
このほか,ノッキングは,プラグの位置や数,燃焼室の形状及び冷却,圧縮比などにも関係が
ある。
(2) ノッキングの害
ノッキングの害には,次のようなものがある。
i)打音が発生する。
ii)出力が低下する。
iii)エキゾースト・バルブ,ピストンなどが焼損する。


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